テディベアは裏切らない
「みんな、なにがしたいんですか……。みんな、人のためになにかできるって思ってるんですか? 教えましたよね……私教えましたよね! 人が人のためにできることなんてない! それは全部本人の自己満足なの! されたほうが『ありがとう』って言うしかない善意を押しつけて、友達のためにいいことをしたって気分になって、結局本当に相手のためになったかなんてわからないのに、それをみんなは」

「するのよ、友達だから」

「っ……」

レナちゃんの言葉は、アイスピックのように私を突き刺して、喉を詰まらせる。けど、だけど、そんなの理由になってない。

「友達だから、なんなの? 友達だったら、人の人生に踏み込んでいいの? アナタのためを考えてるって言って、それを理由にして、善意を押しつ」

「押しつけだったらなにさ」

そして今度はほたるちゃんに遮られた。

「あたしゃ押しつけるよ。とことん押しつける。レナにリスカなんかやってほしくない。小百合にわけわからんことで悩んでほしくない。三人でしょーもないこと話してさ。笑ってさ。楽しくやりたい。あたしゃそれがいい。そのために自分ができることがあるなら、善意の押しつけだろうが押し売りだろうが、あたしゃやるよ」

「それで……責任、取れるんですか」

人の人生に影響を与える、責任を。

「わかってあげようよ、小百合ちゃん」

めまぐるしい。囲われているから、今度はまひるちゃんに振り向くことになった。
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