恋し金魚
「あ。ネックレス…つけてくれてる…」



「あたり前だよ!幸くんがくれたんだから」



手をつないで砂浜を歩いた。




「人間ってすごいね…」



「そう?」



「協力して何かを成し遂げられたり…すごいもの作ったり…恋して、結婚して子供が出来て、家庭をつくって……やっぱり凄いよ。私、また生まれ変わるなら人間がいいな。」




「…花火…」




いつか幸くんも大人になって、他に好きな人ができて…結婚して、子供ができて…幸せな家庭をつくるんだろうな……










できれば、その隣にいたかった……





一緒にいたかった。



また観覧車乗って、今度は雪を見るんだ。




あの町並みが真っ白に包まれるのを一緒に見るんだ……








だけど







「花火。時間だ…」




7時10分。



花火が始まるのはあと50分。







いや…





いや!




「花火!?」




私は海の中へ飛込んだ。




だんだん腰まで水に入る。



「花火!花火やめろ!?」



「いやっ!!止めないで!! どうせ死んじゃうんだもん!!」



「やめてくれ!」



「離して!!離してよぉ!…うぅっ…うぁぁ…」



幸くんに後ろから抱きしめられながら私は今までにないくらい泣いた。



溜め込んでいたものを全部はきだすように…





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