恋し金魚
―5年後―



病院の中を走って回る男の人がいた。



「幸先生! 幸先生!?」



「あら。どうしたの?松岡くん」



「幸先生がいないんです。今回のオペのこと聞こうと思ってたのに~。」



「幸先生ならさっきお散歩に行ったけど?」


「散歩!?…まったく先生は穏やかですね~。でもすごいっすよ。大学は超一流の医大に入って、今は有名な医者なんてマジ憧れます。」



「幸先生はあんたなんかと違うのよ。」



「え!ひど!」













ザザァ……



ザァァアン……





真っ白な砂浜に広い海…



あの日以来久しぶりに来た…





「花火は今、どうしてるかな?」




今も見守っていてくれるのだろう。




ポケットから出したものは小さな箱。



その中に紫陽花のネックレスを入れた。




「もう一度、君に届くかな?」





優しかった君に


大好きだった君に





忘れないよ 君のこと


僕と君の過ごしたあの夏を。




「花火、僕は今幸せだよ…」





そう言って僕は箱を海へ流した。






ありがとう




花火。








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