空の姫と海の王子


アリ一匹も通さない……程ではないが
人が侵入するのは不可能なくらい
厳重に固められた警備を抜けて
どうやって庭に侵入したのか?


そんなのは普通の人間には無理

ということは答はひとつ

この男は¨能力者¨


玲と蘭はこちらを睨み続ける
陸の赤い瞳を見つめ返した

瞳の色と能力の関係は
年々解明が進んできていて
瞳を見れば何の能力者なのかは
大体分かるようになってきている


燃えるような赤い瞳は
結構有名な能力

だがその能力をもつ能力者は
現在確認されていないはず


自然系能力¨炎¨


精神系
物理系
自然系

三つの能力の中でも希少で
その能力自体が膨大な力を持つ¨自然系¨


「よりによって自然系とか」

「あいつが¨SUN¨だとしたら、すっごい厄介」

「だから!!SUNだかパンだか知らねえけど、いいから離せ!」


玲と蘭はしばらく考え込み
同時に顔を見合せ頷きあう

陸が不思議そうに眉を潜めると
二人は悲しそうに笑った


「厄介な種は目が出る前に」

「潰しとかなきゃいけないの」


二人の手にいつの間にか握られていた武器


「おいお前ら──」


陸が口を開くと同時に
玲と蘭は陸の前に移動し
目の前に武器が突き付けられる


──速い


陸はとっさに身をよじるが
もう無駄な足掻きでしかない


『ごめんね──¨偽りの果実¨』


目の前が真っ白になったと同時に
陸の意識は完全に吹き飛んだ


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