顔のない恋
始まった…


私は耳にヘッドフォンを当て、お気に入りの音楽をガンガンかけながらそれが聞こえないようにする。


お母さんが働きだしてからほぼ毎夜繰り返される
お父さんとお母さんの口論…


口論を耳にする度、私のために働き出したからだと自分を責めて、胸が裂けそうなほど痛んだ


止めに入る勇気もない私は、その恐怖から逃れたくてこうして聞こえないふりをしている。

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