月夜にヒトリゴト

打ち明け話

互いに、知らなかった家庭の事情、これまでの20年間、そして現状を話していくうちに、何かしら、違う感情が芽生えていたかもしれない。

私は、圭亮に、助けて欲しかったわけではなかった。
ここから救い出して欲しかったわけでもなかった。
ただ、私の生きて来た道を、圭亮にだけは知っていて欲しかった。
やはり、いつかは、打ち明けようと、心に決めていたように感じる。
打ち明けたところで、何も始まらず、何もかわらないというのに・・・

圭亮もまた、私の何かを救えるはずはないと、心のどこかでは感じていたと思う。

過去の恋心と、切ない思いと、正義感とが入り交ざり複雑だったろう。
きっと、心がざわめいていただろう。

まさか、互いに、一歩を踏み出すとは思ってもいなかった。
あの時までは・・・
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