月夜にヒトリゴト

後ろ向き

幸せなときをすごし、毎日、何十回ものメールのやり取り、長電話を繰り返した。

圭亮と過ごした場所、話したこと、共通の思い出、何もかもが色鮮やかだった。
そんな出来事は、何ヶ月経った今もなお、時々私の中で蘇る。

切なくもあり、懐かしくもあり・・・

その後の圭亮は、家族に話すタイミングを見計らってるようだった。

それまで、仲たがいのようなこともなかったような奥さんに、大泣きされたり、家を飛び出されたりしたという。

私が、圭亮の家庭の事情を聞いて、もう終わりにしようというたびに、「もう俺も、引き返せないとこまで来てしまってる」という。

はやる気持ちのない私と、なぜか、先を急ぐ圭亮。
何がどう、させたのかは今でも分からない。

中途半端な状況が、圭亮を苦しめていたのは確かだった。

次に会うのは、4月の頭だった。

それまでには、ちゃんと話をつける。
そういう圭亮。

次は、その次は、と期限が延びていくたびに、私の不安はますばかりだった。

捨てられるくらいなら、もうヤメにしてしまいたい。
私は、そう願うようになっていた。

二人は、幸せだったはずだった。
いつの間にか、多くを望むようになり、何かが狂ってしまっていた。
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