月夜にヒトリゴト

悪循環

さっちゃんは、被害者である奥さんの態度は、仕方のないことだという。
時間を掛けて、圭亮はちゃんと連絡してくるよ!という。

私もそう信じたかった。

何もないときは、ずっとずっと、何がいけなかったのか考えた。
圭亮のことしか思えなかった。

たった数回しか逢えなかった圭亮。

あの笑顔が、囁きが、手のぬくもりが、全部偽者で、全くの嘘だらけで、私は騙されていたんだ。
そう思えたら楽だと思った。

でも私は、今でも圭亮が好きだといえる。
大切な幼馴染だともいえる。

ここまで来る前に、どうして、圭亮は真実を話してくれなかったんだろう?
家族の元に帰りたいと、ちゃんと、話してくれなかったんだろう?
こんな方法しかなかったんだろうか?

堂々巡りの私の心。

時々襲ってくる、闇が私を押しつぶそうとする。

死んでしまいたい。

そう思う瞬間があった。

時々、メールしては、奥さんから罵られた。
そんな繰り返しを何度かしてしまった。

私は、泥沼から足を抜けずにいた。
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