月夜にヒトリゴト

借金

結婚以来、家計は、旦那が握っていた。
自分が働いて稼いだお金だという意識が、人一倍強い人だった。
「食わせてやってる」という言葉を何度も聞いてきた。

結婚して17年目の今も、旦那の手取りがいくらなのか私は知らない。
未だに“生活費”をもらって暮らしている。
子どもが三人に増え、田舎から地方都市に越してきたので、少しずつ増やしてはくれてるが、それでも、10万でやりくりしている。
結婚当初は、6万だった。
食費と雑費、病院代で、あっという間に消えてしまう金額だった。
実家とはいえ、よその家の事まで気にかけてる余裕なんて、本当はなかった。
でも、毎日顔を出すようになり、冷蔵庫が空っぽだったら、買い物に行って補充し、仕事に出かけてる両親と世話になりっぱなしの祖父母や妹と弟のために、夕飯の支度までするようになって行った。
自宅からタッパーをもって来ては、多めに作り、自分たち用に夕飯を詰め替える日々が続いた。

そこまでしても、実家の暮らし向きはよくなるはずもなく、税金だ~車検だ~なんだかんだと、「お金を貸してくれ」とせがまれるようになった。

勿論、そんなこと、旦那には言えなかった。
たった一度、相談したときに、「とんでもない」と怒鳴られて以来、何も言えない状態だった。

私は、親に連れて行かれ、借金をするようになった。
カード会社から、何件も貸付を受け、子どもが小さく、働いてないから、借りては返すという繰り返しとなった。
そうなると、借金は膨らむ一方。
ますます、旦那には言えなくなっていった。

月末になると、督促の電話がかかってくるようになる。
毎月、ハラハラしながら、生活した。

幼い頃から、そういう両親を見て育ってきた。
まさか、結婚してまで、自分が同じ事になるとは思っても見なかった。

お金で悩まされ続けた自分が・・・
夢を諦めないといけなかった自分が・・・
また、同じ苦しさにはまっていっていた。


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