月夜にヒトリゴト
支配
隠し事があると、毎日ビクビクして暮らしてしまう。
やましい思いで、旦那の顔色を伺う、辛い日々だった。
それは自業自得だった。
自分の招いたことだった。
だから、誰にも相談できなかった。
親にも、兄弟にも、友人にも、ご近所の人たちにも・・・

これから起こる、家庭の出来事。
旦那の仕打ち。
長いこと、胸一つにおさめていた。

私は、だめな人間なんだ。
徹底的に、そう教え込まれた。
生きてる資格もないとも言われたこともある。

秘密を持って生きるというのは、自分のうちにうちに、暗闇が押し寄せてくる。
深呼吸する心の余裕もない生活が、いったい何年続いただろう?

とても長いトンネルだった気がする。
たった一つ、ボタンを掛け違えた私は、首のところまで窮屈に締め付け、息苦しく酸欠状態がずっと続いてるような毎日を過ごしていた。



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