このキズで俺はお前を縛る
いってえ……

頭ががんがんする

なんだよ

何があったんだ?

重たい瞼を持ち上げる

視界が悪い

なんだ?

何も見えねえよ

左側がやけに痛ってえよ

俺は手を動かして、左目あたりを触る

ガーゼのような感触がある

「あ…母さん、茶佑の意識が…」

兄貴の声がした

その次に、母親のドアップが俺の視界に移った

「な…」

「さっちゃん! 良かった…生きてたぁ」

「ああ?」

俺は首をかしげた

< 16 / 55 >

この作品をシェア

pagetop