鳥籠のドルチェ
●○救出



――テンプノン教会





●○ 救出









「神父さまぁッ…!」


その日の教会のミサが終わったのを確認して

少し弾んだような少女の声が教会中に響いた




「なんですかマリン。騒々しいですよ」

"マリン"と呼ばれた少女は、少し怪訝そうに叱られても嬉しそうにしたまま神父を見上げる




「私、今日で16歳になったんです!

だから教会の外に、行っちゃダメですか…?」



「マリン。何度も言いますが、貴女は教会の外へ出ては行けません」



「何故ですか…?」


マリンは不思議そうに首を傾げる



「いずれ解りますよ。」



神父はそう言うと踵を返してどこかに行ってしまった



礼拝堂にはマリン、ただ一人になった。




─おめでとうも言ってくれなかったな―…




少しの期待も見事に打ちのめされてしまい、うなだれながらマリンは歩き出す




16回目の誕生日
誰も祝ってはくれないことなど解っているが、思わず期待してしまう



生まれてから直ぐに教会に引き取られ、マリンは一度も教会の外に出たことはない












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