秘密のお勉強会

勉強開始

「はい、それじゃあ数学からはじめよっか。」

「……何でアメ舐めてるんですか?」

つっこんじゃいけないのかな?って思ったけど、どーしても気になったから結局質問してみた。

「僕ね、勉強する時は糖分をとるのがクセになっちゃったんだ。
でも、ケーキとか食べるわけにはいかないからアメを舐めるようにしてるんだ。」

「そ、そうなんですか……。」

器用に喋るんだなぁと思いながら、私は数学の教科書をめくった。
問題文を見るだけで、頭がいたくなった。

「それじゃあ、取り合えずこの問題とこの問題をやってみて。」

雅人さんに指されたとこの問題を見る。
(これ、苦手なとこ―――!)
私は焦りながらも問題文を目で追い、カリカリと鉛筆で式を書いていった。


「……出来ました。」

「お疲れ様。頑張ったね。」

雅人さんが微笑みながらそんな事を言ってくれたから、私の中の疲れなんて一気に吹っ飛んだ。


「これが答えだよ。
見てみて。」

「……また、全部間違ってた……。」

雅人さんがいつの間にか用意していた手書きの答えを見て、私は溜め息をつく。

あんなに頑張ったのに、と、頭が痛くなった。

「結菜ちゃん、答えが全てじゃない。
答えにたどり着くまでの過程を見て。

ほら、ここなんて小さなミスでしょ?
ケアレスミスをちゃんと行えば、今度はしっかりと出来るよ。」

「……はい!」

数学なんかは、答えはあっても過程の式が書いてないから、答えがあっているか、間違っているかで判断していた。

勢いよく返事をした私をみながら、雅人さんは丁寧に基礎を説明してくれた。

大事な所は、ノートにとる。
学校よりも丁寧で、ゆっくりとした説明は、しらずしらずの内に私の頭にスルリと入り込んでいった―――。
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