エージェント・レイ‐狂人の島‐
「きゃあぁあぁぁあぁぁっ!!」

凄惨な光景に、思わず私は悲鳴を上げる。

それがまずかった。

悲鳴に気づき、一斉にこちらを見る暴徒達。

その眼は市街地で見た群集と同様に白濁し、正気を失っているように見える。

まるで屍。

なのに動きは常人と同じく機敏にして俊敏。

暴徒同士は意思の疎通が出来るのか、何か理解不能な言葉を口走って、次々に私へと向かってくる。

私が踵を返すのは早かった。

涙目になりながら、再び駆け出す。

…逃げ場はない。

走りながら、私はこの島が脱出不可能である事を思い知らされていた。

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