エージェント・レイ‐狂人の島‐
手持ちの携帯電話を確認するものの、こんな田舎の島では圏外。

外部への連絡手段はない。

「……」

暴徒がいない事を確認し、私は建物の陰でしゃがみ込む。

少し休息をとりたいし、何より途方に暮れていた。

…助けは期待できない。

というか、もうまともな人間は、この島に私だけなのではないかという気さえする。

何故こんな事になったのか。

私の故郷はどうなってしまったのか。

安らげる筈の故郷が地獄に変わった。

私はこの地獄から、単身脱出をはかる必要があった。

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