エージェント・レイ‐狂人の島‐
しばらく思案した末、私は決断した。

ここで蹲っていても、助けは来そうにない。

この島で生き延びたければ、行動を起こすしかないのだ。

路地の奥へといってみよう…!

但し、聞こえてくる声が暴徒である可能性も捨てきれない。

地面に転がっていた、ビールか何かの空き瓶を拾い上げ、握り締める。

もし襲撃を受けた時に、対抗する為の武器が必要だったからだ。

…しっかりと空き瓶を両手で保持したまま、私はゆっくりと路地の奥へと進んでいった。

霧はほぼ晴れてきたとはいえ、暗がりの続く路地の奥。

視界はお世辞にもいいとは言えない。

突然飛び掛られたりしたら、反応が遅れるかもしれない。

その事に一抹の不安を感じつつ、私は慎重に進んでいった。

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