そのコップは空(ソラ)だった。


「何かあったの?」

「なきゃ電話しちゃいけねーのかよ」

「ううん」


私は彼に見えるはずもないのに首を振った。


「いいよ」


まさか自分の部屋で彼の声が聞けるなんて…。


私はベッドの上で子機を耳にかざす。


「最近…どう?」


彼はぶっきらぼうに聞いた。


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