そのコップは空(ソラ)だった。
「頑張ってこいよ」
新聞で顔を隠すお父さんが言う。
私は元気な声で「いってきます」と言って玄関に向かった。
「優子」
後ろからお母さんに止められる。
「この前、電話をかけてきた人だけど…」
「良い人だよ」
お母さんは「そう…」と胸を撫で下ろす。
「今度、お父さんにも紹介してあげてね」
「うん!」
叶えられるか分からない約束を交わし
私はドアノブに手を掛けて家から飛び出した。
それが私の大きな一歩だ。