そのコップは空(ソラ)だった。
最後に言った"だいすき"は妙に神妙に聴こえた。
「テストとか終わったんじゃなかったっけ?」
姉貴がいつの間にかドアに寄り掛かって立っていた。
「盗み聞きすんなよ。」
「電話がうっとうしいならそう言えばいいじゃない。」
「入院相手にそう言えるわけないだろ。」
「へぇ、自分が怪我させておいて空美を
入院相手なんて言えるなんて良いご身分様。」
ダンっ!!!
俺は壁を叩く。
俺は言い返そうとした。
しかし、先に叫んだのは姉貴だった。
「なんであんたが空美のカレシなの…?!」
姉貴の拳が震える。
「なんで空美はあんたを選んだの?!
なんで…なんで…こんな奴を…」
顔を下げる姉貴の目から涙が床に落ちた。
「…俺が聞きてぇよ。」
最悪な事はたくさんしてきた。
普通だったら1か月で別れてもおかしくないのに
半年続いた。
しかも、ソラは嫌な顔見せずに。
俺の…どこがいいんだよ。