そのコップは空(ソラ)だった。




あ。



「やっぱり花瓶にさす。」




俺は花束を花瓶にさした。



コップに浮かぶのは小さいキンモクセイの花びら。



ソラが気に入ってくれたみたいだ。




「市川悟を幸せにしてます!」



俺の後ろで杉浦がはきはきと言った。



俺は笑い出してしまう。




それはこっちのセリフだ。




「空美、ヤキモチやくなよ。」



俺はソラに微笑みかけた。



< 72 / 258 >

この作品をシェア

pagetop