Bitter&Sweet




『みーくん、
一生、一緒にいようね』




本気でそうなると



その願いは叶うと信じてた



あの頃に帰りたい



帰りたいよ、姫…………



何も知らなかった頃に
帰りたい……………



  ポタリ………



眠る姫の頬に雫が落ちて
にじむ視界で自分の涙に気付く




帰りたい、帰りたい



あの頃に帰ったら
そのまま時間を止めて
繰り返し繰り返し
同じ日を生きていたい




一生、一緒にいようねって


抱き合ってキスをして


訪れることのない
未来を夢見たい


哀しい真実なんて知りたくない




「……もう、いやだ。
帰りたい、戻りたい……
姫、帰りたいよ………」



泣きながら、覆い被さるように
姫をきつく抱きしめた



姫の柔らかい髪が頬に触れる



小さな肩の感触が懐かしい



この腕の中のぬくもりが
オレの全てなのに



どうして いつもオレは
姫を守りきることが
出来ないんだろう




ただ愛してるだけなのに


ずっと一緒にいたいだけなのに



それが どうして こんなに


許されない難しいこと
なんだろう




「………ごめんな
いつも守ってやれなくて」




もっと早く姫が倒れる前に
オレが助けることができたなら




…………もう限界だ



朝が来るまで姫を抱いた


そのぬくもりを忘れないように


これで本当に最後だ



オレが姫をそばにおくことは
もう出来ない



オレは姫を守れない





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