Bitter&Sweet
お兄ちゃんの事なんて
もう考えたくない……
「お昼の時間なくなるんで
私、もう行っていいですか」
返事を待たずに
本郷先生に背を向け
一歩踏み出すと
ガバッ………
後ろから本郷先生に
抱きしめられた
「―――――――……!
いや………」
やめて
そう叫びそうな私を口を
本郷先生は手でふさいだ
「………んっ、んー……」
「静かにしてね、南。
誰かに聞かれたら嫌だから」
口をふさぐ手も
ウエストに回された腕も
すごい力だった。
暴れようにも
ビクリともしない
…………嫌だ、怖い………
耳元で
「嫌がらないでよ
言ったでしょう?
ぼくたちは恋人同士
毎日のように抱き合ってたんだ
…………本当だよ?
南の唇の感触だって
よく覚えてる…………」
「――――――………っ!」
怖い、怖い、嫌だよ。
そんなの知らない。
私じゃない、信じられない
本郷先生は私の首筋に
唇をつけた。
「んんっ!」
「懐かしい。南の味だ」
舌先で首筋をなぞる。
お兄ちゃん 怖いよ助けて
助けてよ、お兄ちゃん…
ギュッと目をつぶると
お兄ちゃんが浮かぶ
嘘つきでも、
他に好きな人がいても
私には お兄ちゃんしかいない