吸血鬼と紅き石
小さな身体を抱き締めたリイエンの胸の中、お父さんとお母さん、そして兄弟に会いたかったのだとターニャが泣いた。

「フン…つまらん戯言だ」

男――――ザーディアスが、心底つまらないとばかりに鼻を鳴らした。

ターニャの魂魄を胸に抱いたまま、リイエンはその顔を睨め付ける。

「何か用か?娘」

そんなリイエンの視線も意に介さず、男は愉しげに喉で嗤う。

リイエンの胸中に、父や母に会いたいというターニャの想いを利用して踏み躙る、この男に怒りが湧いた。

「力もない人間風情が何をいきがる」

肩を竦めたザーディアスがパチン、と指を鳴らした。



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