吸血鬼と紅き石
「タ、ターニャ?」

多少首が締まって苦しいけれど、何となく様子のおかしいターニャが気になって、優しく背中を撫でてやる。

「…あの男、嫌い」

耳元で小さな声がする。

『あの男』とは、レンバルトの事だろう。

そこでようやく抱き付いていた力が緩んで、そばかすだらけの幼い顔が見えた。

「…お姉ちゃん、あの男のになっちゃ嫌だ」

(あの、男のに、って…)

続く言葉にリイエンは目を丸くする。

何だか身も蓋もないような、答える言葉に窮するような、そんな言い方に言葉に詰まったら。

目の前の幼い瞳に涙が浮かぶ。

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