吸血鬼と紅き石
「……ッ!離して!」

その手に肩を震わせ、リイエンは青年の腕を振り払う。

呆然とした表情を、レンバルトがした気がした。

けれどその表情を良く見ないまま、腕を振り払った勢いのまま部屋を出て。

走って走って。

「……ッ」

どれだけ走ったのか、躓きそうになった所で壁に手を付いて、リイエンは息を整える。

そのまま力を失った足が崩れるように、リイエンの身体ごとズルズルと壁沿いに座り込む。

(レンバルト)

(レンバルト)

呼び掛ける名は、一つ。

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