吸血鬼と紅き石
「タ、ターニャが?さぁ、知らないわ」

答える声がどこか上擦ってしまうのが自分でも分かる。

どうしよう。

どうしたらいいのか分からない。

(この石は何?)

聞いてみるのが一番だと分かっているけども。

(誰かを、殺したの?)

もし肯定の返事が返って来たら、それこそどうしたら良いのかすら分からない。

怖い。

問い掛ける勇気を持たないまま、リイエンは青年の脇をすり抜けようとする。

「…おい、リイエン?」

先程からの態度と、己と瞳を合わせない様子を訝しんで、レンバルトがリイエンの腕を掴む。

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