切ナクテ、恋シイ、ヒト。
え・・・。
その意外な彼の表情と態度にアタシはさっきよりももっとこころが苦しくなり
ズキズキしてきた。
「ま・・・
待っ・・・!」
アタシは慌てて追いかけようとするけれど
追いつけなくて
人ごみに紛れてだんだんと見えなくなる優を
それでもなんとか追いかけようとしたけれど
彼がアタシのほうに
振り返ることはなかった。
どうしよう・・・。
アタシは呆然と
人ごみの中、
立ち尽くす。
----アタシは彼の手を
振り切ってしまったんだ----
やっとそう理解したとき急に淋しくなって、
怖くなって震えだした。