季刊『お屋敷ハンター』
 はらほろと涙をこぼす少女の姿にオレは同情もするけれど、対象とするには幼すぎて食指が動かな、ではなく、いや、それでいいや。
言葉の意味が伝わらなそうもない幼女相手では、オレはあまり役に立たない自信があった。


期待は薄いがミヨちゃんを見ると、むしろ楽しそうににやついている。
母性を求めても無駄そうだ。


「帰る方法とかないの? 元居た場所とやらに」

「こ、ここがどこだかもわかんないのに、あたしそんなの一人じゃ、あ! みんなは? みんなも一緒かもっ。ナーディア、アーシア、スーズ~」


 さっき空を目指したときのようなスピードで、小娘は再び飛んでいった。

塔の壁を一周めぐり、崩れた石の上を行きつ戻りつ。
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