【連作】そらにかなでし〜平安朝禁断恋草紙③〜
それらの品を、一の君は、ゆるりとご覧になっておいでになりましたが、満月の光を固めたような、美しく丸く磨かれた真珠をあしらいました小さな簪が、ふと、この方の目におとまりになって、

(なんとも、綺麗な)

とお思いになりまして、少しばかり、その手にとってお眺めになっていらっしゃいますと、ますますにも、これは、かの少女の黒髪に挿すのが似合うように思われてくるのでした。
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