恋戦(コイイクサ)
「どう言うこと?」

いつもより低く発せられた私の声を気にすることなく、瑠璃はムフッと笑った。

夏休みに入り、これと言って予定も無かった私が瑠璃に連れて来られたのは、“誰か”の家。

「上がって」とまるで自分の部屋の様に私を招き入れるが、ここは瑠璃の家ではない。

知らない人の家に勝手に入る事に気が引ける私にお構いなしに、「良いから良いから」強引に背中を押す。

仕方なく階段を上り、瑠璃の後ろに着いて一つの部屋に入って行った。



「………」

部屋の中の光景に言葉も出ない私に

「こんにちは」

部屋の主であろう人物がにっこりと笑った。



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