恋戦(コイイクサ)
「それにしてもあの態度は酷くない!?」

例え女嫌いだったとしても、落し物を拾ってくれた相手にあんな酷い態度を取ると言う事が、私には信じられなかった。

お礼の言葉も言えないなんて。

有り得ない。

「うーん。でも格好良いから、それでも許されるんじゃない?」

「格好良いからって許されて良い訳?」

「でも…」と若干馬鹿にした様な顔をした瑠璃は、

「新堂くんに話し掛ける子なんて、いないよ。莉寿ぐらいだよ」

口元に手を当て、クスッと笑う。

「は?」

「新堂くんを見れば分かるよ」

瑠璃は私の手首を掴み立ち上がらせると、グイグイと何処かへ引っ張って行く。


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