恋の忘れ物 ~先生と私の追憶~


やっとのことで境内に付いた。

惜しむように今まで繋がれていた手をどちらともなく離した。


ずっとずっと繋いでいたかった。



二人合わせて願い事を祈る。


私は追加でもう一つ願い事をした。


先生の試験合格出来ますように・・・







莉子達と合流する事が出来た。


「小春ったらなにしてんのぉー!」

莉子はちょっと怒っていたけど田崎先輩と繋がれた手を見れば幸せそうで。

莉子が寄ってきて耳元でささやいた。


「二人っきりになってどうよ?」


一気に顔が赤くなる。


「・・・知らない!!」

言いながら私は売店所まで足を運んだ。





手にしたのは小さなお守り。

そこには〈合格祈願〉の文字が入ったもの。

それを巫女さんに渡してお会計する。



「小春、合格祈願って何か勉強でもすんの?」

不審に思った莉子が覗き込んで来た。


「いいの!私、勉強するんだから~。」







本当は先生にあげる為に買ったお守り。

いつか渡そう。



先生の願いは私の願いでもあるから。






さっきまで繋がれた手はかじかむ事は無くまだ温かかった。






< 104 / 144 >

この作品をシェア

pagetop