恋の忘れ物 ~先生と私の追憶~


あっ!



倒れたお茶が莉子のスカートにかかる。



「莉子!」


私の足は頭で考えるよりも先に動いていた。

走って莉子に近付く。



「莉子!大丈夫!?」


私は急いでハンカチを差し出した。



「あ、…ありがと…」


莉子は立っている私を見上げて初めは驚いていたが、ハンカチを受け取りこぼれたお茶を拭いた。


…何か言わなきゃ。


少しの間無言が続いたが先に口を開いたのは莉子だった。


「ハンカチ洗って返すわ…」


「…うん。」


なかなか会話が続かない。

「…あの…莉子、ごめんなさい。」


やっと言えた言葉。


「…うん。」


「私、莉子に八つ当たりしてた…いつも私を支えてくれてたのに、一時の感情で莉子を傷付けてしまった。すぐその事に気が付いた時にはもう遅くて…ごめんなさい!」


もっと言いたい事があるけど、今の私はこれが精一杯の謝罪。



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