恋の忘れ物 ~先生と私の追憶~




莉子が口を開く。



「ほんっっとうにこれでいいの?」




「・・・」




「小春の顔見てれば分かるよ。もう一度向き合った方がいいよ。」





真剣な莉子の表情。

その目は私の心を見破る。




「・・・うん、いいの・・・先生にも迷惑かかるし。本当に決めたんだ。」



首を縦に振りながら、私は今にも泣きそうだった。




苦しいよ・・・






真っ直ぐ私の目を見る莉子は、私の両手を強く取った。




「・・・小春の気持はどうなるの?苦しくないの?その気持ち何処に持っていくつもり!?このままだったら絶対後悔するよ?私、小春に後悔してほしくない!!」





我慢していた涙が一気にそして止めどなく流れ落ちる。










そうだ、初詣に行った時先生はこう言ったんだった。



”まだまだ考える事、やるべき事沢山勉強しなくちゃいけない。だから遅くなってからの後悔は辛いぞ”




・・・後悔したくない。


後悔するなって言ったのは先生だよ。


莉子の言う通りこのままだったら絶対後悔する。






後悔してからじゃ遅いんだ!






「私、後悔したくない!それに全然向き合ってないし、先生から逃げてた。でも莉子の言葉で決心付いた!」


私は泣いてた顔を上げ涙を拭く。



「小春・・・頑張れ!!私はいつでも小春の味方だからね!!」



「莉子・・・本当にありがとう、私頑張る。」














二人でじっと先生の歌が終わるまで聞いていた。



そこには硬い決意と前を見る私達がいた。


































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