恋の忘れ物 ~先生と私の追憶~


端から順に各先生が挨拶をしていく。


一番最後に先生がマイクを取った。


「えー、藤沢です。今日をもちまして本校を去る事となりました。教師一年目の私にとって皆と出会えた事、とても楽しく沢山勉強させてもらいました。未熟な私を温かく迎えてくれた生徒達に感謝しています。」


先生は真っ直ぐ前を見て堂々としていた。

それはとても誇らしげで・・・



行かないで、先生。


私の視界から消えないでいて。

先生がいないと好きなこの学校がただの学校になってしまう。




ステージの上にいる先生と一瞬目が会った。


…気がした。


遠くにいる先生には私に気が付かないはず。

だけど私にはそう思えた。


先生、私ちゃんと気持ち伝えるよ。


怖くて仕方ないけど向き合って言うんだ。


今日でサヨナラかもしれない。


でも後悔しない。

後悔しない為に伝えるんだもん。






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