月の夜 ~短編~
風にのって、微かにそう、聞こえた気がした。

彼女の、声?

透明な、けれども、深く乾いた声。


会いたい?
誰に?


気づいているのか、いないのか。
彼女は僕たちを引き連れたまま、暗い夜道を歩いて行く。

どこまでも、どこまでも。



このままどこか、違う世界に連れて行かれてしまうのだろうか。

たとえば、かぐや姫が月に帰って行ったように……。


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