月の夜 ~短編~
なぜか、またあの人がふわりと出てくる、そんな気がして、動けなかった。
出てきて欲しい。
それが、ホントの気持ちだから……。
五分。
十分。
白い息が時間を数える。けれど、彼女は出てこない。
ふわぁあ。
眠そうなジロのあくびで我に返った。
そうだ、散歩の途中だった。
出てきて欲しい。
それが、ホントの気持ちだから……。
五分。
十分。
白い息が時間を数える。けれど、彼女は出てこない。
ふわぁあ。
眠そうなジロのあくびで我に返った。
そうだ、散歩の途中だった。