月の夜 ~短編~



泣いて、いる……。



何と言えばいいのかわからない。
声が、出ない。


近づいてみると、彼女はとても綺麗だった。
顔立ちがどうこう、というより、僕の細胞が全身で、通り過ぎる彼女を美しいと感じている。



ヒタヒタヒタ。

傍にいても、その足音はか弱く、薄い。

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