月の夜 ~短編~
僕は、気怠げなジロを無理やり起こすと、少し離れて、彼女を追った。


あの泣き姿が気になった。

向かう先が、万が一にも、危険な場所だったりしたら……。



冷たい月の光の下を、ひっそり、彼女は滑って行く。
まるで、硬い彫刻のように。冷たい陶器の置物みたいに。

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