夢みる蝶は遊飛する

「あのさ、マネさんって何やってくれるの? いまいちよくわからないんだよね」


それは二列目の中央付近に座っている、多分2年生だと思われる子だった。

首を傾げて、眉をひそめているけれど、不快だという表情には見えなかった。

私の存在が早くも邪険にされているのかと思ったけれど、そうではないらしい。

ただ単に、マネージャーというものがよくわからないのだろう。


「一言で言うと雑務、なんだけど・・・。主にドリンクの準備、テーピングや手当て、部室の掃除、備品の買い出しや管理、スコア、審判やオフィシャル、ワックスがけ、とか」

「わあっ、マネージャーさんってすごい尽くしてくれるんですね!」


私の言葉を受けて、一年生であろう数人の顔がほころぶ。

マネージャーとして私が入部することによって、今まで雑用に追われていた部員たちが部活だけに集中できるようになればいい。


自分の存在が必要とされるなら、私はどれだけでも自分を犠牲にできる。

私を必要としてくれるのなら、なんだってできる。


「だからって、なんでも頼るのはダメだからね! 甘やかさないから!」


はしゃぐ部員たちに、舞が喝を入れる。

鬼キャプテン! と叫ばれていて、それに対して舞も睨みつけていたけれど、そのどちらも本気ではなくて、ふざけているのがわかった。

とても友好的で、微笑ましいな、と思った。


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