夢みる蝶は遊飛する
けれどその時、気がついた。
廊下に、人の気配がすることに。
息をひそめているとは思うけれど、それが一人や二人のものではないのは明らかだった。
まさか、と思った。
不快感を伴う汗が、背骨にそって流れたのがわかった。
外で聞き耳を立てているのは、たぶん彼らである。
どうか間違っていてほしいと思いながらも、私の勘はよく当たる。
そう、私に都合の悪い時にかぎって。
「舞」
「ん?」
舞が振り向く。
「すごく、嫌な予感がするんだけど」
笑顔のまま小声で囁く。
「嫌な予感って?」
舞は気づいていないらしい。
扉の向こうで息を潜める“彼ら”は、今か今かと登場の瞬間を見計らっているようだった。