夢みる蝶は遊飛する

けれどその時、気がついた。

廊下に、人の気配がすることに。

息をひそめているとは思うけれど、それが一人や二人のものではないのは明らかだった。

まさか、と思った。

不快感を伴う汗が、背骨にそって流れたのがわかった。


外で聞き耳を立てているのは、たぶん彼らである。

どうか間違っていてほしいと思いながらも、私の勘はよく当たる。

そう、私に都合の悪い時にかぎって。


「舞」

「ん?」


舞が振り向く。


「すごく、嫌な予感がするんだけど」


笑顔のまま小声で囁く。


「嫌な予感って?」


舞は気づいていないらしい。

扉の向こうで息を潜める“彼ら”は、今か今かと登場の瞬間を見計らっているようだった。

< 116 / 681 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop