夢みる蝶は遊飛する

店内を歩き回り、スポーツドリンクの大きな袋を入れたら、カゴはさすがにかなりの重さになった。

金属の持ち手が手に食い込んで痛い。


右手で持っていたカゴをさりげなく左手に持ち変えて、赤くなった右手の指を曲げ伸ばししていた時、左手の重みがふと消えた。


「気づかなくてごめん。女の子にこんな重いもの持たせてて。
俺が持つよ」


相当な重さのそれを持つ彼の手は、私の手よりもごつごつしていて、思ったより大きく見えた。

それが彼のたくましさを感じさせて私は少し恥ずかしいような不思議な気持ちになった。



「ありがとう」


そして私は、心をこめてお礼を言った。

自然と笑みも、こぼれていた。

< 155 / 681 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop