夢みる蝶は遊飛する

この脚が、いけないのだ。

もう使い物にならないこの膝が。

だったら切り落としてしまえばいい。

跡形もないくらい、切り刻んでしまえば。


狂気をはらんだ瞳は、なにも映してはいない。



いや、膝ではない。

そもそもの原因となったのは、この私自身だ。

他人を不幸にすることしか出来ないこんな命など、きっと誰も必要としていない。


そう、死んでしまえばいい。

手首に走る動脈を切り裂き、鮮血を溢れさせれば、きっと死ぬことができる。


右手でしっかりとカッターを持ち、左手首に押し当てた。

瞳をきつく閉じて、右手に力を込めた。


不思議と、恐怖は感じない。

迷いは、なかった。






< 312 / 681 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop