夢みる蝶は遊飛する
その瞬間、放り出していた携帯電話から音楽が流れはじめた。
点滅するライトはピンク。
メールの受信。
慣れた動作で携帯電話を開き、いくつかのボタンを押す。
メールの差出人は、沙世だった。
それは先ほど私が送信したメールの返信で、彼女らしくない沈んだ文章が数行並んでいた。
その現実に、目が覚めた。
冷や汗が吹き出て、手が震えた。
つい先ほどまでカッターナイフを握っていた右手が、恐怖にわなないた。
私は、私は一体何を考えていた?
命を捨てようだなんて、死にたいだなんて、どうして思った?
両親の死を目の当たりにして、命の重みを知っているはずの私が、どうして。