夢みる蝶は遊飛する
またひとつ、悲しい残像が私の目に映る。
私が最後に涙を流したあの日が、よみがえってくる。
あの日、鋭い刃のような言葉とともに突きつけられた事実は、私の心を深く傷つけた。
抉られて、切り刻まれた。
皇ヶ丘学園中等部三年、全国大会の決勝戦。
勝利をおさめたものの、私は膝を壊して再起不能となった。
バスケは私の命とも言えるものだった。
それができなくなった私は、身体を半分に引き裂かれたのと同じ。
そんな状態では、なにもできない。
未来に向かって歩くことだって。
悪夢のような現実に食いちぎられた私の夢のかけらは、もう輝いてなどいなかった。
膝の激痛に見舞われた私は、すぐに病院に連れていかれた。
さまざまな検査ののちに告げられたのは、残酷な事実。
呆然としていた私に、父の考えていたことはわからなかった。
入院することになった私を残して、帰宅する間際に、父は言ったのだ。
用無しだ、と。
バスケができなくなったお前はもう必要ないと、そう言ったのだ。