夢みる蝶は遊飛する
学校側の口利きで用意された個室で、暗闇の中、私はひとりで泣いた。
痛む膝を抱えて、患部からの発熱にうなされながら。
幼い頃の孤独がよみがえり、恐怖と不安で狂いそうだった。
零れる涙の雫は熱かったけれど、私の心の中は、だんだんと凍てついていった。
二日間の入院を終えて退院する日、私を迎えに来たのは母だけだった。
父の顔を見たら謝ろう、そう思っていたのに、父の姿はなかった。
母は、私が今までに見たことのないような恐ろしい顔をして、父は出ていったと私に告げた。
母は私を責めた。
私のせいで父が出ていったのだと。
欠陥品になった私を、罵った。
それでも私は、父も母も嫌いになることができなかった。
憎めなかった、恨めなかった。
私以外、誰も悪くないのだと。
誰も悪くないからこそ、自分が、自分だけが悪いのだと思った。