夢みる蝶は遊飛する
スポンジケーキを二段に切って、片方の上にまずクリームを塗る。
厚くなりすぎないように、慎重に。
その上に、薄くスライスした苺をこれでもかというくらい敷き詰めて。
そしてまたクリームをうすくのばす。
もう一段のスポンジをそっとのせて、二人で手分けして側面と上面にもクリームを塗った。
私が担当した部分だけ見事にむらになり、落ち込んでいたら沙世が無言で綺麗に修正してくれた。
最後に上の面を装飾するために、絞り袋に生クリームを入れて、沙世が気合を入れるために腕まくりをした。
ここで私が手を出してしまったら悲惨な出来栄えになることは目に見えているし、一度そうなってしまえば沙世が頑張っても修正は難しい。
だから私は見ているだけにすることにした。
そっと力を込めて、艶やかなクリームを絞り、等間隔で同じ大きさの装飾を施していく。
その間に、ヘタをとった苺を埋め込んでぐるりと一周すれば、美しい紋様が完成する。
なにも書かれていないチョコレートプレートには、沙世が細いコルネを作って同じようにクリームを絞り出してメッセージを書き込んだ。
中央にそれを配置し、ケーキは出来上がった。