夢みる蝶は遊飛する

「そういえば高橋さん、あの暗号の解き方教えてよ。俺もちらっと見せてもらってたんだけど、全然わからなかったんだよね」

「須賀くんは知ってると思ってたけど、違ったの?」


彼すらも知らなかったことを、意外に思う。


「え、俺はなにも知らないよ?」

「ヒント出してくれてたから、知ってるんだと思ってた」

「あれは隼人に、こう言えって教えられたことを言ってただけ」


そう、彼も私に、ヒントを出していたのだ。

とてもわかりやすいものを。



「“エリザベス女王”とその称号“グロリアーナ”それから“暗殺されかけた”、それを会話の中でうまく使ってヒントを与えろって」


終業式の前の、あの不自然な会話も頷ける。

世界史の中で使われる固有名詞を、さりげなく日常会話に用いるということは至難の技だ。


「あれ、すごくわかりやすかったよ」


そのときのことを思い出して、つい笑ってしまう。

< 581 / 681 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop