夢みる蝶は遊飛する
「そういえば高橋さん、あの暗号の解き方教えてよ。俺もちらっと見せてもらってたんだけど、全然わからなかったんだよね」
「須賀くんは知ってると思ってたけど、違ったの?」
彼すらも知らなかったことを、意外に思う。
「え、俺はなにも知らないよ?」
「ヒント出してくれてたから、知ってるんだと思ってた」
「あれは隼人に、こう言えって教えられたことを言ってただけ」
そう、彼も私に、ヒントを出していたのだ。
とてもわかりやすいものを。
「“エリザベス女王”とその称号“グロリアーナ”それから“暗殺されかけた”、それを会話の中でうまく使ってヒントを与えろって」
終業式の前の、あの不自然な会話も頷ける。
世界史の中で使われる固有名詞を、さりげなく日常会話に用いるということは至難の技だ。
「あれ、すごくわかりやすかったよ」
そのときのことを思い出して、つい笑ってしまう。