夢みる蝶は遊飛する
「一日でそんなにいくつも暗号を解いて、今日来たんだ? やっぱすごいな!
あ、その暗号の対照表も世界史の教科書から?」
「ううん。それは自分で調べたの。ネットで検索したら、意外とすぐに見つかったよ。たぶん桜井くんは、調べればすぐにわかることを前提として、この暗号を作ったんだと思う」
そう考えると、やはり桜井くんの知力は驚くほど優れていると思う。
一般教養や学校で履修した内容に加えて、情報収集能力まで試された気がした。
「でも、その暗号の記号もずっと昔のものだから、すべてそのまま再現できたわけじゃないみたい。この“古”っていう記号はkを表してるんだけど、本当は♀のマークを逆さにしたような記号なんだよ」
パソコンで製作されたこの文章に、今はない記号を組み込むことはできなかったのだろう。
それを除いたとしても、これはとてもよくできているし、私には作れないだろうと思う。
「こんなの作った隼人も、解いた高橋さんもすごい! 天才は違うなあ」
ヒントをもらって解いた私は、称賛されるべきではない。
かといって、なにも知らない状態で解けたはずもない。