夢みる蝶は遊飛する
確かなものなど、どこにもない。
存在しない。
けれど、そんな曖昧なものを信じてみたくなった。
その笑顔を。
この心のあたたかさを。
傷ついて、傷つけて、迷って、大切なものを無くし、かけがえのない人を永遠に失って。
遠い痛みに胸を焼き、回り道ばかりしてきたけれど、行き着いた先がこの未来ならば。
私が過ごしてきた時間は無駄ではない、大切な過去だと胸を張って言えるから。
私がいつか墓前に手向けた花と同じ色の夜空を見上げる。
儚い月光に照らされた真っ白な蝶が、きらめく星に吸い寄せられるように羽ばたいていった。
Fin.